2016年8月21日(日)、東京都奥多摩の氷川キャンプ場にて、アグリサイエンスラボ~肉や野菜を「おいしく」焼こう!―火力と食材―~を実施しました。前日まで雨の心配もありましたが、当日は真夏の日差し。夏らしい天気のもとで実施ができました。当日の活動内容をお伝えします。
【火起こし:自力で炭に火をつけよう!】
今回の企画、「はやく肉を食べたい」という子どもたちの気持ちをひしひしと感じながらのスタートですが、まずはしっかり火起こしです。「焼く」ことはヒトが安全においしく食べるために身につけた「加工」を第一歩。火種になるような薪を探し集め、着火剤やガスバーナーに頼ることなく、マッチから炭に火をつけることに成功しました。
【温度を知る:ミシシッピテスト】
肉や野菜をおいしく焼くために、大切なのは火の温度。しかし何百度にもなる火の温度を測るのは簡単ではありません。そこで編み出された方法が、手の感覚を使うというもの。アメリカで生まれたその方法は、ミシシッピテストと呼ばれます。火の上に手をかざし「ワンミシシッピ、ツーミシシッピ、スリーミシシッピ…」とカウントし、熱さに耐えられなくなるまでの時間で温度を推測するというもの。誤差が大きそうな気がしますが、意外に精度が高いのです。ヒトの手が熱さを危険ととらえて反応する時間はほぼ変わらないということなのですかね。生きものの不思議も体験できました。
【実験・観察:肉や野菜を「おいしく」焼こう!】
さぁいよいよ肉と野菜を焼き始めます。まずは、おいしく焼くために「観察」です。肉・野菜を火にかけて、時間とともにどのような変化が起こるのかを集中して観察します。「ちょっと茶色くなった!」「すごい茶色くなった!」「丸まった!」「水が出てきた!」「しわしわになった!」「小さくなった!」「黒っぽくなった!」など、いろいろな変化を発見できました。「焼く」というシンプルなことですが、よく観察することは新たな気づきを与えてくれますね。
ちなみに肉のおいしさの秘密は、子どもたちも気づいた「水が出てきた!」というところ。肉汁にたくさんの味の成分が詰まっているので、肉汁を逃がさないようにするのは一番のポイントでした。いいタイミングの肉と、タイミングを外した肉とではおいしさが違うことも実感できました。野菜にもやはりポイントがあります。それぞれの野菜の特徴を知り、合わせた焼き方を工夫することで野菜をおいしく食べることができます。
生きものの不思議を知り、食べ方を工夫することの積み重ねで「食」の文化は築かれています。その一端を子どもたちは実感できたようです。
真剣に研究した後は、待ちに待った自由に焼いて食べる時間です。観察でわかってきたことを思い出しながら、肉と野菜をおいしくいただきました。家でフライパンを使って焼くと、また違った発見があるでしょう。「焼く」という工夫はシンプルで奥が深いですね。
<<予告>>
次回のアグリサイエンスラボは2016年9月19日(月・祝)です。
「育てたお米を収穫しよう!」をテーマに、稲刈りや農機具観察を行います!お米をたくさん育てる工夫にも注目です!
今回のように、アグリサイエンスラボでは農場体験と実験を通して生きものの不思議(生命科学)や食べものの工夫(食品工学)を学べます。ご興味のある方は是非お気軽にお問い合わせください。
アグリサイエンスラボについてはこちらをごらんください。